こんにちは、土木公務員ブロガーのごろまるです。
近年、通学中の児童が交通事故に巻き込まれ死亡してしまう傷ましいニュースが多いです。
そこで、通学路の安全対策は、誰がどのように実施しているのか疑問に思われる方もいると思います。
通学路の安全対策について、解説していきます。
通学路の安全対策は誰が実施しているのか?
通学路の安全対策は主に
- 学校
- 教育委員会
- PTA
- 警察
- 道路管理者
- 地元の方々
が連携して行っております。
通学路の点検を行い、危険箇所などを把握したうえで、関係者で検討した対策を実施していきます。
そして、安全対策は主にハード対策とソフト対策に分けられます。
ハード対策は警察、道路管理者が行い、ソフト対策は学校・教育委員会PTAなどが行います。
ハード対策とソフト対策の内容について説明します。

一般的にハード対策は、施設や設備など形のあるものを指します。
一方、ソフト対策は、知識、人材、情報などといった形のないものを指します。
ハード対策
ハード対策は、警察と道路管理者が行う対策であり、信号機の設置、横断歩道の設置、歩道設置、ガードレールの設置などが挙げられます。
ハード対策は、多額の予算を必要とするものが多いうえに、すぐに対策が完了までにある程度の時間を要します。
例えば歩道設置では、
危険箇所の把握 → 予算要望 → 予算配分 → 事業化 → 地元調整 → 用地買収 → 工事 → 完了
といったように、対策完了までに多くの調整や時間を要します。そのため、対策完了までに5年程度はかかることが多いです。
(中にはもっと長期にわたるものもあります。)
下記の写真は、歩道整備の事例です。歩道がないところを歩道を整備して、歩車分離により通学児童の安全を確保したものです。

ハード対策完了までの安全確保として、ソフト対策が欠かせません。
また、ハード対策を行うことで、抜本的な解決にはなりますが、用地買収や地元の協力がないと、事業化することが難しいのが現状です。
そのため、地元の意向も考慮しながら安全対策の内容を検討していかなければなりません。

安全対策には地元の意見が重要です。
続いては、ソフト対策について説明します。
ソフト対策
ソフト対策は、学校・教育委員会、PTAが行う対策であり、安全教育、立哨活動、通学路の変更などが挙げられます。
ソフト対策は、予算がほとんどかからないものが多く、すぐに取り組むことができます。
そのため、ハード対策が完了するまでの期間にソフト対策を行い、通学児童の安全を守っています。
例えば、
道路に歩道が整備されていない箇所の歩道整備が完了するまでの期間において、立哨活動を行うといったことがあります。
また、家屋が密集していて、歩道設置の用地が買収が困難な箇所においては、少し遠回りになったとしても安全な道に通学路の変更をしたりしています。
近年では、少子化や過疎化の影響もあり、学校の統廃合が行われ、スクールバスで通学する児童が増えております。そのため、通学路を指定していない学校もあります。
このことから、通学児童を守るためには、ハード対策とソフト対策両方の組み合わせが重要になっており、関係者の連携を密にとることが必須になっております。
通学路の安全対策の仕組みとは?
先ほど述べたように、関係者の連携を密にとることが必須であることから、そのための仕組みが市町村ごとに構成されております。
その仕組みのひとつとして「通学路交通安全プログラム」があります。
「通学路交通安全プログラム」について説明します。
通学路交通安全プログラム
「通学路交通安全プログラム」とは、市町村ごとに策定しており、HPなどで公表されております。
内容としては、通学路安全確保に関する関係者名、通学路の点検・対策実施に関する方針が明記されており、PDCAサイクルで通学路の安全確保を行うことを目的としております。

また、対策箇所一覧表がまとめられており、どこが通学路で危険であるのかが公表されております。
そして、この「通学路交通安全プログラム」に位置付けられている対策については、地方自治体の道路管理者の場合、国に補助金を要望することもできるため、自治体の負担が軽減されます。
(国は、通学路の安全対策を重点的に支援しているため、補助率が他の補助金に比べて高くなります。)
もし、自分の子どもが小学生である場合、通学路の危険箇所について、調べてみるのも良いでしょう。
全国のほぼ全市町村でこのような体制が構成されております。

令和3年6月に発生した千葉県八街市の事故が発生した際には、全国で一斉に通学路点検を実施しました。
まとめ

通学路の安全確保は、自治体や学校、地元の方々など様々な関係者が連携して行っております。
しかし、安全確保のための対策を行っていても傷ましい事故が発生しているのが現状です。
運転者の違反行為やモラルの欠如から事故に発生していることが多いため、大人の安全運転教育にも力を入れていかなければいけないと思います。
みなさまも子どもたちが安全に学校に通学できるよう、安全運転を心がけましょう。
コメント